お隣さんと内緒の恋話


雅と話していると、葵が袋を下げて帰ってきた。



「 織原、葵 帰ってきたぞ。じゃあ、あとは葵に手伝ってもらえよ? 俺はちょっと仕事あるから 」

「 はい。じゃあ また… 」


先生が自宅に入ったところで、私は帰ってくる葵に駆け寄った。


「 葵~ おかえり!」

「椿… ただいま。引っ越しは?」

「 うん、少しは片付いたかな。カーテンつけてほしいんだけど いい?」


葵にやってほしくてパパにつけさせなかったもんね。


「 いいよ、じゃあ これ雅に渡したら部屋に行くよ 」


やったね!

葵が一旦自宅に戻り、私も自宅に入った。

100均にも着いてきてくれるか聞かなきゃなぁ

一人より二人ってね。


しばらくして ドアをノックしながら葵が私を呼んだ。


「 椿、俺だけど 」

来た、葵だ!

「 はーいっ、開いてるから入ってきて~ 」


私がそう言うと 葵が部屋に入ってきた。

葵が来たのを見て私は笑みが顔に自然と出る。


「 なに、なんで笑ってんの?」

「 ええ?ううん、別に。なんとなくね… 葵だなぁと思って。あ、ねぇ 前髪結ばない?今だけでも… ね?」


朝から普通にダサ男の葵に向けた提案は 私が葵の素顔を見たいから。

洗面所からピンクのゴムを手にして、ベッドを椅子代わりに葵を座らせる。


「 この前髪結ぶね?じっとしてて 」


葵が部屋に入ってきた時よりも、今この瞬間が緊張でいっぱいになった。

葵の膝の間に立ち、髪を触ると つい、結ぶつもりが余分に髪を指に絡めて触ってしまう。



葵の髪…

やわらかいな…

見た目 固そうなのに、意外。


「 椿?」

「 あ、今やる 」


そう言うと葵は目を閉じた。