葵の姿が見えないのを気にしながら 私は引っ越し作業を進めていく。
「 パパ、部屋の真ん中に箱置いてね!あと、鏡はベッド脇ね 」
「 はいはい。…あ、食器 忘れたな~ 」
食器? そういえばないかも。
「 パパ、昼から100均でも行って買うよ 」
「 そうか?そうだな、それも楽しみだな。じゃあ、必要な物は これで買いなさい 」
やった!お金様~
パパからお金をもらった私は 甘えて お昼代までもらった。
夜は お婆ちゃん宅で夕食を取るため、残りのお金はこずかいにできる。
嬉しくてたまらない。
ふと、昨晩のコンビニでシュークリームとエクレアの代金を立て替えてくれた事を思い出した。
葵に 100均行った帰りになんか買おうかな~
そんな事を思いながら 荷ほどきをしていく。
ある程度の片付けや、配置が決まると私はパパに帰っていいと言った。
「 パパ、もう だいたい片付けられたし、大丈夫だからママのとこ帰って 」
「 そうか?まぁ あとは椿の好きなようにしなさい。何かあったら お婆ちゃんか先生を頼るんだぞ 」
ん? 先生は頼りたくないけど…
「 わかったよ、大丈夫!また連絡するから 」
パパを見送りに外に出ると、雅が お婆ちゃんと一緒にいて パパを見送ってくれた。
お婆ちゃんは これから出かけるからと家に戻ると帰っていった。
「 織原、昨日は悪かったな… 葵に怒られたよ 」
あはは、でしょうね~
「 それはいいですけど、葵は?」
「 ああ、土日の朝だけバイトしてんだ、葵。やめさせるつもりだけどな… 」
バイト?知らなかった…
でも、やめさせるんだ。
「 先生って… 葵が大事なんだね。でも、女好き?内緒にしてあげますけど 」
「 織原~ 勘弁してくれ、あんなことは もうしないからさ 」
うわぁ 嘘っぽーい!!

