一人モヤモヤと考えていたが、私が考えたところでいつかはわかること。
何も言わないまま私は引っ越しのための準備をしてパパと家を出る。
「 ママ、また来るね!一人暮らしはしても、部屋が離れてるだけだから… 心配しないでね!」
「 わかってる。お婆ちゃんがいるし、遊びじゃなくちゃんと生活するのよ?気をつけてね 」
笑顔で頷く私は 家を出て、パパが借りてきた軽トラに乗り出発した。
パパはママと同じように、お婆ちゃんがいるからと安心していた。
私にしてみれば、お婆ちゃんが上山先生を知っているというだけで心強い。
上山先生も、葵のお兄さんである上に、先生だから。
気になるのは 意外と女癖が悪そうというだけ。
それだけ。
アパートに着くと、お婆ちゃんと上山先生である雅が話していた。
お婆ちゃんと先生…
挨拶かな?
軽トラから降りて二人に声をかけた。
「 お婆ちゃん、上山先生!おはようございます。先生、私の父です。パパ、先生ね、お隣さんなんだよ!すごいでしょ 」
さりげなく、学校の先生がお隣だと説明してみた。
「 織原の… おはようございます、上山と言います 」
「 どうも、椿の父です。娘がお世話になっております 」
なんとか先生がいることが言えた。
挨拶が済むと、お婆ちゃんが荷物の運びを催促した。
先生がパパに自分も手伝うと申し出た。
それだけでもパパの先生に対する印象は良くなり、私が隣に住むことから 私を頼むと都合のいい事を言っていた。
内心 ホッとする私は この場にいない葵が気になった。
葵…
まだ寝てるのかな?
「 椿、お昼はどうする?」
「 パパは帰るでしょ、ママ作ってるだろうし。私はいいよ、早く片付けたいから 」
ご飯より、今は部屋作りよ!うん。

