私の彼は校内で有名なダサ男。



でも、今は違う… 実は兄の雅と同じようにイケメン。


「 今日は席替えするぞ~ 順にクジを引けよ 」

雅の思いつき、席替えするためクジを引いていく。



葵を思う私は、当然 願う。


葵の隣になりたいと、願う。

いつだって影に埋もれていた葵の素顔を知っても 、ダサ男に恋した私に違いない。

ダサ男じゃなかったとしても、きっと運命が結んでくれたはず。


そして 誰にも言いたくないのに、内緒にしてたかったのに…


葵がダサ男をやめてしまった。


「 あ… 」

「 何、椿はどの席~… あ、ウソ、やったじゃん!」


葵、私…


「 椿、隣 どーぞ 」



女子たちの好奇な視線が集まるのに、葵は私だけを見てくれている。

これから私は葵から離れないよう必死でもがきながら、葵にドキドキする毎日になる。



「 葵、お隣さんだね 」

「 だな、隣にいるって運命かもな 」

「 うん、私もそう思う 」



保健室で会って、校門で腕を引っ張られ… あげくに お隣さんとして暮らしていた。


葵は私だけを見て微笑み、柚奈や香伊羅は 見守るように笑みを私たちに向ける。



「 椿、上山くん、隣同士なんてね。クジ運よすぎ? じゃ 私たち先に行くね~ 」



柚奈には壮真、香伊羅にはまだ見ぬ彼氏がいつか現れる。

笑里も玲音と… 私には可愛い妹か弟ができる。

雅は先生でいつも変わらない友達みたいな人。

私の幸せは?



「 椿 」


葵がいる。いつだって、隣にいる。


「 ねぇ 葵、髪が伸びたら またダサ男になっちゃうね 」

「 だな。椿はどっちがいい?」

「 もちろん、両方!葵だもん 」



そのうちライバルが現れて大変かも…



「 葵、好き 」

「 知ってる、隣でいつも聞いてるから 」



だからね、葵は誰にもあげない。

私と葵は、互いに恋するお隣さん、この先も ずっと。


ずっとね。




________________完。