図書室から出た空気は一変、もうダサ男を見る目はどこにもなく、振り返り見る生徒たち、そして誰もダサ男の葵だとすぐには気がつかない。


今までどんなに損していたか。


兄である雅と同じなのに、言わば雅の影になっていたようなもの。



「 椿、そういえばサンドイッチは?」


ん?


「 それがね、材料なくてさぁ… あはは、またの機会に~」

「 しょうがねぇな、その代わり …」


その代わり?


耳打ちする葵の声に くすぐったさを感じる。

私と葵を見ている生徒からの 色んな眼差しを受ける。

恥ずかしくてたまらないのに、優越感があった。



「 椿、雅 追い出すから来いよ 」


え…

そんな事を囁かれてたなんて、赤面するしかない。

頷く私に笑みを見せる葵にドキドキは増すばかりで困る。



「 おいおい、お二人さん、目立ってるぞ!」

「 壮真… 柚奈も香伊羅まで… 」


見られてたよ~ 恥ずかしっ



「 もう公認だね、上山くんはダサ男は返上!椿はこれから大変だね~ 」


柚奈ってば…


「 上山先生ファンが乗り換えるかもね?」


香伊羅、やめて。

葵は誰にも譲らないんだから!