葵に手を小さく振ると私は自宅に入った。
パタンと静かにドアを閉めて一息ついた。
上山先生…
変な人だなぁ まさかの光景見ちゃったし…
まいったぁ~
それにしても 葵も意外だったな…
全然 ダサ男じゃないもん。
本来はそうなんだよね… 上山先生の弟なんだから。
はぁ……
私はお婆ちゃんのプレゼントであるベッドに倒れ込み、見える窓を見つめた。
明日は引っ越しだ…
まだカーテンもない部屋で、カーテンの代わりにバスタオルを何枚か吊るし 月明かりの中 私は眠りに落ちた。
その頃 上山宅では、葵が 兄 雅に対して怒っていた。
「 おい、葵… まだ怒ってんのか?悪かったって… 」
「 椿に言えよ!なんなんだよ、毎回違う女ばっか… もう 家に入れるな!遊びじゃなく ちゃんと彼女作れよっ 」
「 簡単に言うねぇ… ま、これからは連れてこないよ。けど、織原 椿か… お前、好きなんだろ?
見ればわかる。良かったな、お隣さんで 」
「 黙れっ 」
ハッキリ答えない葵を 優しい笑みで頭をこずく雅。
葵は 雅の手を払うと 玄関口を見ていた。
夜は更け、朝は来る。
カーテンのない窓からは朝陽が目覚まし代わりとなって私を起こした。
ぼうっとする暇もなく、私は一旦 団地にある自宅へと帰ることにした。
お風呂と、朝ごはんと~ 着替えと、荷物…
パパが最低限の物だけ昼までに準備してくれるから~
よし!帰ってから引っ越し!

