葵の前髪が流れるようにして顔がハッキリ見える。
まだカーテンもついてない部屋に月明かりが私たちを照らしている。
この状況に雰囲気、お年頃の私には申し分ないほどドキドキと トキメキの空気間。
まさにキスの瞬間。
そして悪魔が囁く… キスしちゃえと。
でも、葵から目をそらしてしまった私。
葵ではなく天井を仰ぎ見る私の視界から 月明かりが陰った。
葵…?
「 椿… 」
うそ… 葵、私にキスしようとしてるの!?
葵の手が私の頬横、床につく。
ほんとに、しちゃうの?
思わずギュッと目をつむると、ガチャ… バタン、と音が聞こえた。
互いの唇が寸での所で止まり、私は目を開けた。
視界に広がる葵にドキドキ ドキドキとうるさく高鳴る心音。
ヤバい~ 聞こえちゃいそうだよ!!
「 今… 音が… 」
「 あ… そう、私も聞こえた!」
隣からだから上山先生かな…
「 雅だ… 見てくる!」
「 私も行くっ 」
二人して起き上がると、すぐに玄関を開けて外に出ると、目の前の光景にあんぐりしながら息を吸い込んだ。
先生っ!?
私と葵が見た光景は、月明かりの下で雅が上半身裸にスウェットズボンをだらしなく履き、彼女と玄関先で濃厚なキスを交わしていた。
見てはいけないモノを見てしまった気分。
学校内の女子達が知らない上山先生を見てしまった。
「 雅っ!!いいかげんにしろっ 」
葵が私の前に立ち喝を入れた。

