私は忘れてない。
柚奈が傷つき声をあげて泣いたこと。
私までが心底辛かった…
「 柚奈… 加純さんは、今、あの時の柚奈そのものだよ? 好きな人に突然別れを言われて… 」
「 椿~ もう いいって。言いたいことわかるけど 終わったの、加純さんはかわいそうだけど、私も譲れないし、今 壮真がいてくれるんだもん、それでいい 」
わかんない…
そんなのわかんない!
私 柚奈の友達で親友で… 味方だよ、でも、加純さんを傷つけた。
恋だもん、仕方ないかもしんない。
でも、そんな言い方は… ないよ。
「 椿、私 壮真といたいんだけど、いいかなぁ?」
「 あ、そ… じゃあ、私 帰る、またね 」
「 え… 椿?」
私は柚奈と壮真の顔を見ずに すぐ店から出た。
そして早歩きで歩いた。
どれくらい歩いたか 力んで歩いてせいか息が切れる。
ちょっと休も…
柚奈を悪いとは言わないけど、あんな風に言わなくても。
壮真も壮真だよ…
考えても人の恋路に文句言えない。
気持ちを切り替えようと、また歩き出す。
15分ほど歩けば デパートがある。
行こうかと悩みながら 交差点で信号待ちをしていた。
青信号になり渡ろうとした時、肩をポンッと軽く叩かれ振り向いた。
え… あっ!

