柚奈が待っていることもあって、私は葵と離れがたいところを振り切って 葵宅を出る。
「 またね、葵 」
「 またな 」
うん、また…
ひーん、帰りたくなぁいっ
わがままが言える距離なのに、それを言うわけにはいかない距離にある お隣どうし。
自宅に帰ると、玄関に柚奈の靴がない事に気がついた。
ん?
「 あれ、柚奈… 柚奈ぁ、いる~?」
しんっと静かな部屋から返事はない。
あ、壮真とまだいるのかなぁ?
私は自宅に鍵をかけて アパート前に柚奈を探しに行った。
ちょうど 駐車場より前の道端に、柚奈の姿が見えて声をかけようとした。
「 柚… っ!?」
え、え、ええ~ ちょっと…
私は声をかけかけて、自分の手で口を塞いだ。
それは柚奈が壮真とキスをしていたから。
見ちゃった… 生キス、見ちゃったぁ!
隠れる場所がないため、誰の車かわからないが車の後ろに隠れるように座る。
柚奈ってば、壮真とどうなったわけ?
壮真 まだ、後輩と別れてないし…
キスなんて ヨリ戻ったって事?
あ~ わかんないっ
二人の様子を隠れて見る私がいるとは知らずにキスしている。
長いよ… 長い!
どんだけキスしてんのよ~
そしてやっと壮真が柚奈と別れ帰って行った。
ずっと壮真を見送る柚奈を 私は車の後ろから立ち上がり見ていた。
柚奈が壮真と別れる前は こんな風に 二人は一緒にいた。
それを思い出すと 別れたのは間違いだったと感じた。

