柚奈が見つめる中で壮真は加純からの電話に出て話す。
「 俺、ごめん、今 柚奈と一緒にいる。なに?」
『 なんで? 柚奈さんって元カノでしょ… どうして一緒にいるの、どこにいるの?』
「 場所は言えないんだ、でも話してるだけだし… 」
『 場所言えなくて、話すだけって相手は元カノなのに… どうして?やだ、そんなの 』
静かな部屋に携帯から漏れる加純の声を壮真のそばで聞き耳立てる柚奈。
壮真は、加純に柚奈と一緒にいると言えば気にする事はわかっている。
それでも、今の加純は少し違い、慌て戸惑っているのがわかる。
『 壮真先輩、会いたい… 元カノと話ってわかんないよ!私がいるんだから 私だけでいいじゃないっ もう帰ってきて、お願い!』
彼女なら当然の言い分。
それが束縛の始まりになる事は、柚奈と付き合っていた分わかっている。
好きだから、気になるのは 当たり前。
それを束縛という一言で片付けてしまうとキリがない。
壮真は思う。
加寿也と一緒にいた柚奈、妬かなかったと言えば嘘になる。
立場を置き換えればわかることも、感情が先走り何が大事か見落としてしまう。
それが なかなか互いに伝わらない。
「 加純… 悪い、今は柚奈といるから、またな 」
『 先輩っ!?』
電話を切る壮真は柚奈を見つめる。
「 …こんな事させて ごめんね、壮真 」
「 いいよ、別に。なんか、わかった気がするし… 俺、バカだから 柚奈の気持ちとか ちゃんと見てなかったかもな…
ただ好きで、それでいいと思っ… 」
壮真が話す中、柚奈はたまらず 抱きついた。
その時 壮真の手にあった携帯が落ち、メールを知らせる着信音が部屋に響いていた。

