葵にドキドキすることを隠して、私はシュークリームを食べようと言った。
「 葵はエクレア、食べよ!」
「 悪いな… 兄貴のせいで 」
上山先生かぁ…
イケメンで明るく楽しい爽やか教師…
実際 見たわけじゃないけど こういうのは裏の顔っていうのかなぁ…
「 気にしなくていいよ、うちなんて 見ての通り何もないもん。テレビもないんだよ?あるのはパソコンと携帯だけよ、つまんない 」
「 パソコンあるならいいだろ 」
「 そう思うけど、使えないの… 携帯だけだからさ。親は一人暮らし許してくれたけど テレビもパソコンすらまだダメって…
うちのママさぁ、赤ちゃん出来たのね、それもあって一人暮らしを選んだけど、テレビないなんてね… 」
話したものの、愚痴になってしまった。
でも、葵は何も言わずに私の頭を よしよしと撫でた。
子供じゃないんだからと一言言おうにも 髪で顔の赤みを隠すことしかできなかった。
照れるって、意外と厄介だなと思った。
「 ねぇ 上山先生って、葵に何にも言わずに彼女連れ込むの?」
「 兄貴… 雅はいつもあんなんだよ、学校の奴らは知らないからな…」
ふぅん、そうなんだ…
もし先生を好きだったら泣いてたなぁ
あ、まさか先生の彼女 泊まったりするのかな?
そうだったら葵は どうすんの?
どうすんの!?
「 椿、テレビなら うちに見にこればいいからな?」
あ、テレビか…

