お隣さんと内緒の恋話


しばらく、葵とのキスに酔いしれていると 話し声が聞こえる。

でも 声が遠くて聞き取れない。



「 聞こえるか?」

「 ううん… でも壮真は来てるんだよね 」


柚奈の声はわかるし、ん? あれ、静か…


いくら隣とはいえ、姿が見えなければ 会話も想像できない。


「 声するか?」


ううん と首を振り耳をすませる。


壮真、いるよねぇ…


今の時間なら声が反響して聞こえそうだけどなぁ


二人とも どうなってんの…


私と葵が盗み聞きしようとしている隣では、柚奈と壮真が向かい合っていた。


「 壮真… 」

「 …会いたいって、なんか話があるんだろ?」


頷く柚奈、その後少しの間 沈黙してしまう。

静かな部屋を 何気に見渡す壮真が口開く。


「 椿の奴… まさか一人暮らししてたとはな 」

「 うん、そうなの!私も最近知ったの、今日は泊まるしね。内緒ばっかだよ、椿は 」

「 上山が彼氏ってのも、その兄貴が先生だってのもな… あんなに秘密主義だったか?」



言いながら ふっと見せる壮真の笑みに、柚奈は胸がキュンとなる。

束縛さえしなければ、壮真は今も彼氏だったと 後悔と悔しさが込み上げる。



「 壮真… 今さらだけど、私… まだ 壮真が好き。束縛ばかりでごめん… 別れてるけど 私、まだ好きだから… 」



柚奈は壮真に 胸のうちを話した。

それを聞いた壮真は、内心 嬉しくもあり困惑した。

なぜなら、壮真には加純という彼女がいるから。



「 私… 諦められないの、壮真が好き!もう一度 チャンスがほしい 」

「 柚奈… 」