私は柚奈のそばに行くと、雅をドン!と軽く突き飛ばした。


「 柚奈、大丈夫? …雅くん、何したの!」

「 ん~ 何にもしてないって 」

「 説明になってない!なんで柚奈が泣いてるのよっ 」



キツく言ったせなのか、雅は立ち上がり 部屋を黙って出て行ってしまった。

あれ… え、なんで?

出てっちゃった…



「 椿~… 先生悪くないから、私が悪いの… 」

「 んん? ちゃんと話して 柚奈 」

「 私ね… 今まで 先生にまとわりついてる女子の気持ちわかんなかったけど… わかる 」



あ、わかる? どんなふうに?

って言うか… 意味がわかんないけど。

ほんと柚奈、最近 変だよ…



「 えっと~ 女子の気持ちがわかるってのは、どゆこと?」

「 私も その女子たちの一人なのかもって意味 」


や、わかんない。

柚奈の話が理解出来ない私は やっぱり おかしいと感じた。

柚奈が壮真と別れた事で、恋に対して勇み足になっている。



「 柚奈、まさか 雅くんに… 恋したって話?」

「 恋してるって話。今度は間違いないかも…」



間違いないかもって、おかしい!

今まで 他の女子みたいに特に騒ぐ事もなく 壮真を見ていたはず。


柚奈… 無理に恋しようとしてる。

どうして…



「 壮真がまだ好きなのに、無理して恋しなくていいじゃない?」

「 …椿には上山くんがいるし、先生もいる。私、一人は嫌… 壮真を忘れたくても無理!
彼女まで作ってさぁ 壮真は良くて なんで 私はダメ? 先生だったら 嘘でもいいのに… 」



柚奈…

壮真との別れの傷が 私が思うより深いと感じた。

積もった雪が溶けていくように、傷も癒されて暖かい気持ちで柚奈を包んでほしい。


それは誰か… 私も柚奈も まだ知るよしもない。


「 椿… 私、当分 恋なんていいや 」

「 うん、いいよ。それで いいよ 」