お隣さんと内緒の恋話


赤ら顔で携帯握りしめクネクネしながら ニヤつく私を 柚奈と雅は 呆れて見ていた。



「 椿~ おーい!」

「 椿ちゃーん、カーンバァークッ!」

「 上山先生… それ違うし やめて 」

「 そう?」


ふふん、柚奈も雅くんも わかんないだろうなぁ…

私が甘いって、どこが どう甘いのかな?


二人の言葉は耳に入らず、ひたすら自分の世界で妄想する。


…椿の唇が甘いんだよ

…や、やだぁ 甘いの…好き?

… ああ、試していいか?

…どう 試すの?

…この可愛い スイートな唇を味わいたい。



「 んきゃああああ~! いいっ、良すぎるっ 」


ムフフフフ… どこまでも甘い私でいてやる。


「 椿~ ほーら、目覚ましの雪だよ~ 目覚ませ~ 」


柚奈が一人含み笑いをしている私に雪を顔につけてきた。


「 冷たっ!? 」

何よ~


「 まぁまぁ 玉木、椿ちゃんも うちに入っといで 」

「 はーい 」


雅に言われて 一旦 表に回り、雅宅にインターホンを鳴らして入った。

雅は私と柚奈のために ココアを作ってくれている。


葵 まだかなぁ…


「 葵 まだかなぁ とか 思ってたでしょ!ったく… 」

「 な!? いいじゃん、別に~」

「 いいけど、私はケーキ待ちだから 」


どっちも同じじゃん。

葵がケーキ買ってくるんだし、私たちが頼んだんだから。


「 はい、ココア。ちょいとビターね 」


大人味ですな。


「 ありがとう。ところで雅くん、なんで外出禁止なの?」


温かいココアを手に聞いてみると、雅はなぜか目を閉じて、少しして目を開けた。


「 雅くん?」

「 聞いてくれるか 椿ちゃん… 」


はあ、まぁ 聞くけど?

何したのよ…