お隣さんと内緒の恋話


柚奈と外に出て、私自身も初めてのアパートの真裏。

真裏は塀壁があり、何の果物の実かわからない木がたくさんあるせいか 向こう側は家の屋根しか見えない。


「 椿、裏が屋敷みたいだね。どんな人住んでるの?」

「 さぁ、知らないけど 」


雪だるまを作るにも、意外と雪が溶けていた。

手触り感としては ざらりとしている。

黙々と雪を集めて丸めて それなりの形にして重ねる。


「 やった感がないような… 」

「 椿、それ言っちゃダメ。一応 雪だるまね 」


いや、単なる 雪の玉2つ…


「 上山くんとやりたかった?」

「 なんで? そんなことないよ 」


ん~ 柚奈 ヤキモチ妬いてるみたい。

それにちょっと無理矢理 楽しもうとしてない?


柚奈がもうひとつ雪だるまを作ると言って雪を丸める。

私は手が冷たくて 柚奈が作るのを見ていた。


「 手 冷たいけど大丈夫?中に入ろうよ~ 」

「 痛いよ~ でも完成したら入ろうね、椿、我慢よ? 忍耐よ? 根性よ!」


柚奈… あなた 雪の冷たさでどうかしちゃったね。


冷たい手に息を吹きかけ温めていると、隣の窓が開いたのがわかり、横目に見る。

葵じゃない… 絶対 雅くんだ!


「 お? 玉木、何してんだ~ 寒いのに 」


見ればわかるし、雪だるま作ってるし!


「 上山先生~ 見てよ、雪だるま 」

「 ほう、いんじゃないの。で、椿ちゃんは 俺を見ないし 雪より冷たい感じだけど?」


あら、よく見てる~


「 雅くん、葵は?」

「 コンビニ~ 」


コンビニかぁ そっかぁ いないんだ…

寂しっ