葵と一緒に お婆ちゃん宅へ行くと、お婆ちゃんは笑顔で迎え入れてくれた。
「 二人とも、今日はお祝いだから 鰻にしたよ 」
鰻っ!? この匂い、たまらーん。
「 お婆ちゃん、鰻すきだけど 普通のおかずでいいよ?私 お婆ちゃんの煮物も煮付けも好きだから 」
美味しいのに…
「 椿がお婆ちゃんの味を覚えてくれたらねぇ… 」
ああ、それを言っちゃうの?
無理~
「 大家さん、こんなご馳走… 両親が亡くなってから初めてです!いただきますっ 」
葵……
「 葵くん… 遠慮なく食べて栄養つけてね!なんなら椿の分も食べていいから 」
へ!?
「 ちょと、お婆ちゃん!私 食べるからねっ 」
葵は黙々と食べて あっという間に完食。
すばらしい食べっぷり!
「 大家さん、ごちそうさまでした!こんなご馳走はほんとにうれしいですけど、出来れば 次からは椿ちゃんの言うように普通の手作り料理が食べたいです。手料理も久しぶりなので… 」
葵…… うまいこと言うなぁ
しかも、椿ちゃんって…
「 葵くんは椿より優しい子だね… 私をお婆ちゃんだと思って、甘えてきなさい。
椿、あんたは女の子なんだから もっとしっかりしないと葵くんに捨てられるよ?」
「 お婆ちゃん!! 私はそんな、捨てられるよって何っ 私はねぇ 葵とは何に… 」
「 大丈夫です!俺が椿ちゃんを捨てるなんてあり得ませんから 」
は… はあぁ!?
何を言ってんの!
私の葵との関係が誤解だという事を伝えようとする言葉を遮り、葵は お婆ちゃんの気持ちを組むように否定しなかった。
葵に笑みを向けられ、お婆ちゃんにも笑みがあっては否定すら出来ない。
ご飯の時間を楽しく過ごしたあと、葵が私をコンビニに誘った。
「 お婆ちゃん、喜んでたね… ありがと、葵 」
「 こういうの、久しぶりだった… 兄貴は 苦手だからな… 」
なんか、泣けちゃいそう…
今まで大変だったんだろうな…
先生も、葵も。

