私を通り越して一人玄関に行ってしまう葵に、私は慌てて謝りながら腕を掴んだ。
「 ごめん!でも、私は呼びたくなって呼んだの… 喜ぶ顔見たくなったから!」
言い訳になるかもしれないが本心を言ったが葵は返事をしないまま背を向けていた。
葵……
私は思いきって葵の前に回り込んでみると、予想外の顔に私は固まった。
ちょっと、なに!
なんで 真っ赤なのっ!?
「 葵って… すぐ 顔に出るね… もしかして、私の事 好きになっちゃったりしてる?」
私がそんな冗談混じりに言うと、葵はフイッと そっぽを向いた。
え… あれ…… なに、まさか…
まさかだよねぇ?
次第に俯いていく葵を覗くようにしてみると、葵が私の鼻を摘まんだ。
「 んがっ… だにずんのよ!!」
「 ぶっ!! 椿が変な事 言うからだろ 」
笑ってるし!
鼻痛いし!
「 ばなじでよ~ 」
葵が鼻を摘まんだために変な喋りになっているというのに、葵は私の鼻を離さないまま笑っている。
なんなのよ、もう~
さっきみたいに黙られたら 勘違いしちゃうじゃん…
冗談で言ったのに、冗談じゃないなら ビックリだよ?
「 椿は 楽しいな 」
やっと解放された鼻を見て言う葵は さらに笑い、私はムッとしながら 一緒に お婆ちゃん宅へと向かった。