お隣さんと内緒の恋話


加寿也の車の中で なぜか 圭都の話になっていた。


「 圭都、なかなかだったろ?」

「 なかなか、とは?」

「 イケメン 」

「 ですね 」



何この会話…


「 圭都、こっちに引っ越して来るらしいから 頼むな 」


ああ、引っ越してくるんだ~ そっか…

で、私とどんな関係があるのかな?


わからないまま 葵宅に着くと中に入り、待ちかねた柚奈が駆け寄ってきた。


「 遅いよ~」

「 ごめん。はい、ビデオ、加寿也さんが選んだよ 」


喜べばいいけど…


「 え、ミステリー?」


そういう反応だよねぇ…


なぜミステリーかと私を見るが、選んだのは加寿也。


「 椿、ちょっと… 」


葵?

呼ばれて葵とキッチンに行くと、夕飯は何が食べたいかと聞かれた。


「 夕飯かぁ… じゃあ オムライス?」

「 オムライスね、椿も手伝うだろ?」

「 もーちろん!何でもやる!葵となら何でもね 」


私は今 すごく目がハートだと思う。

だから見つめる葵しか写らない。



「 椿… そんな見つめるとヤバイから、な?」

「 何がヤバイの?見ちゃダメなの~ 」

「 いや、いいけど 向こうからの視線が刺さるんだ 」



向こう!? あ……


ニヤつく加寿也に、柚奈はニコニコ。

二人の視線から察すれば、次はどうすんだ?との視線に 私は葵から離れるしかなかった。

でも、離れがたい上に 二人に遠慮するフリして意表ついてやろうかと思いついた私は 葵に わざと抱きついた。


えへへへ。


「 椿っ!? おい… 」

「 見られても 平気、葵だもん 」



ビックリする葵も私に負けたか笑みを見せてくれた。

そして柚奈の呟きが聞こえた。


「 …はいはい、お好きに 」