照れる葵に 私は意地悪心がウズウズとしてきた。
「 葵? ねぇ ご飯だって 」
「 あ、ああ… けど、なんで急に名前… 」
あれ、戸惑ってる?
面白いかも…
「 葵、ほら 行くってば!」
意味なく 連呼してみたらどう?
「 葵~ 」
「 そんな呼ばなくてもわかってるよ!」
いやだぁ 楽しい!!
「 照れてるでしょ、葵 」
「 うるさい!」
ほら~ 照れてる!
「 怒りながら照れてるでしょ~ 葵!」
「 やめろって!」
ま。照れ屋さん。
誰かの名前を連呼するなんて事は 滅多にないことだ。
無理に葵の名前を呼んでは 反応を面白がる私に、葵は拗ねたのか まったく返事をしなくなった。
「 葵? ねぇってば、だんまりやめてよ~ 照れてるのが可愛いかったから ちょっと からかっただけだよ?」
「 ……… 」
「 葵ってば~ 」
返事くらいしてよね…
黙りっぱなしの葵に私は靴を脱いで部屋に戻ると 葵の前に立った。
「 …葵? ごめんね 」
「 椿… 雅に名前で呼べとか言われた?」
「 うん、喜ぶからって… なんで?」
「 だから呼んだのか… 」
葵の陰る表情に、私は何か悪いことをしてしまったのかと辛くなった。
どうしよ…
言われて、名前を呼んだなんて知ったら 普通 嫌だよね…
私が葵を傷つけたんだ…
どうしよう!!