私から見て雅はイライラしてるように見えた。
高熱ある雅は本来 寝ていないとダメ。
そこに私たちがいては寝てはいられないもの。
「 雅くん、熱… どう? 私たちが来て怒ってるんだよね… 」
「 椿ちゃ… 帰る、なよ… 」
え…
そう言った雅は 前のめりに フラりと倒れてくる。
「 雅くんっ!」
「 雅!!」
「 先生っ 」
私は瞬時に腕を伸ばし出すも 寸でで葵が雅を支え掴む。
「 ったく!椿、悪いな… 肩貸して 」
「 うん、柚奈 待ってて!」
私は葵と雅を部屋に連れていく。
その姿を柚奈が見つめ、加寿也に話し出す。
「 …加寿也さん、先生は 椿だけ ちゃん付けで呼んでる。椿も 先生を下の名前で…」
「 どうせ雅が呼べって言ったんだろうな。妹みたいに思ってんだろ 」
「 妹…」
加寿也の言葉に敏感に反応する柚奈。
「 先生たちから見れば そう見えちゃうもんかなぁ 妹みたいって…」
「 …何が言いたい?」
聞き返された柚奈は何も言えないまま まだ首にある加寿也の腕をギュッと握るようにした。
些細な事でも 胸に引っ掛かり 気になる年頃の私たち。
加寿也は柚奈を妹と見るのか、それ以上 それ未満… 真意はわからない。
柚奈の首にあった加寿也の腕が離れていくと、柚奈は すぐさま振り返り加寿也に抱きついた。
「 なんだ、どうした?」
首を横に振る柚奈の背中をポンポンと軽く撫でるように叩く加寿也。
柚奈はただ加寿也を抱きしめた。
その頃、私と葵は雅をベッドに寝かせていた。
「 兄貴、寝ろ!」
「 雅くん、らしくないよ? 怒ってるし 」
「 別に怒ってない…」
あ、拗ねた?
「 甘えたり、寂しがったり、イラついたり、怒ったり 忙しいねぇ 」
「 しょうがねぇよ… 俺がくたばる時はいつだって
誰もいないからな 」
雅くん…
悲しそうに言うんだね。

