お隣さんと内緒の恋話


「 マジ隣だね 」


柚奈の言葉に笑う私。


「 うん、まぁね。あ、葵!」

「 椿、玉木とリビングにいろよ 」


飲み物を取りに来たのか葵はキッチンへ、加寿也は雅の部屋から出てきた。


「 疲れるな、あいつは…」

あ~ 雅くんがね。


「 っせぇな… 男に看病なんかされて嬉しくもないね 」


雅くん!?



「 上山先生! 大丈夫ですかぁ?」

「 あ~… 玉木、なんでいるんだ?」


だよねぇ そう思うよね~


「 柚奈、先生の見舞いに来たんですよ 」

「 手ぶらで?」


あっ、性格悪いっ

完全に素じゃないの、雅くん…



「 先生!熱なんでしょ? 寝てないと 」

「 柚奈、あんまり雅くんに近づかな…」


近づかない方がいい、そう言いたかったのに、フラフラ歩く雅が柚奈の前に来た。


「 玉木… お前 俺が男で、ここは男の家だってわかってて来たのか?」


雅くん… 柚奈を煽ってない?

生徒に言うセリフじゃないよ…



「 先生? なんか、いつもの先生と違…」

「 いつもの俺?って、なんだよ 」


雅くん?


柚奈は一歩下がり私の肩を掴み後ろに隠れるようにしていた。

ジリジリ私ごと 柚奈に詰め寄り言いながら迫る雅。



「 あの… 先生、寝て?」

「 寝る?……寝て治るなら なんで今治ってないんだよ 」



ちょっと 雅くん やだっ!


雅が私に隠れる柚奈の手首を いきなり掴んだ。



「 やっ…!?」

「 雅くん、やめっ… 」



雅に引っ張られた柚奈を私が腕を伸ばし制止に入るが、反対に柚奈が後ろへと引っ張られた。

見れば柚奈は口がぱっくり開いて驚き顔、首には加寿也の巻きつく腕。


「 加寿也… お前…」

「 雅~ 高熱でタガが外れたか?バカめ…」


驚きの光景に私まで口がぱっくり。

葵は呆れて雅の襟を掴んでいた。