なかなかトイレから戻ってこない柚奈、様子を見に行こうか迷っていると 柚奈がやっと戻ってきた。
「 う~… 」
「 なに、どうした?」
「 …加寿也さんが来ると思うと緊張して、お腹痛くなってさぁ 最悪 」
あらま、そこまで?
「 気にしすぎじゃないの~ 大丈夫、柚奈 可愛いから 」
「 気休め?下痢女が可愛いわけないじゃん… 私 臭わない? 髪は? あ、リップ!」
必死ですな、柚奈さん。
「 大丈夫だってば~ 今リップ塗っても お昼食べたらとれちゃうじゃん?」
葵と加寿也さん、お昼食べに来るんだし、どうせ柚奈も食べるんだし。
あんまお腹すいてないけど…
「 椿… あんたねぇ 確かに塗っても意味ないよ?
でも、女のたしなみってやつは大事でしょ!
私、加寿也さんには女子高生じゃなくて、女に見てもらいたいの!」
丸っきり加寿也さんが好きじゃん、柚奈…
女に見てもらいたいの!って言っても 大人から見れば お子ちゃまだよ、たぶん。
早くも加寿也を意識して落ち着かない柚奈を気にしながらいると、葵と加寿也が店に入ってきて 私を見つけてそばに来る。
葵~!!
「 椿、玉木も待たせて… 」
「 待ってないから、大丈夫、平気!ね、座って!」
私より先に返事した柚奈を 私は半笑いしながら見て葵のために席をつめた。
柚奈の隣には黒い服を虜にした加寿也が座るが、柚奈自身が加寿也の虜。
柚奈のあの顔… 緊張丸出し。
加寿也さん意識しすぎなんじゃないの?
「 加寿也さん、先生どうですか?」
「 雅はガキだから、うるさいな 」
柚奈、雅くんの話題で会話始めるなんて うまい!
「 雅くんはガキなんだ~ そんな感じはする 」
「 椿ちゃんに悪さしたら俺にいいな?葵の分まで 殴ってやるから 」
あははは、殴らないで。
「 椿たち昼は?」
あ~ やっぱりね、でも 朝が遅かったからなぁ まだいらないけど…
「 柚奈はどうする?」
「 …加寿也さんは何食べるの?」
こら、私が聞いてんのに!
加寿也さんに必死じゃん…

