団地方面、バスに乗り二つ目バス停で降りると目の前にあるファミレスに入る。
朝からしっかり食べて、話は柚奈が始めた。
「 ねぇ 加寿也さんって謎だと思わない?」
「 謎?」
何が謎?
「 何て言うか~ ミステリアス?」
「 いや、行き過ぎ発想じゃない?」
「 え~ だって寡黙だよ?優しくて話しやすくて… 私を相手に話すこともないだろうから聞き上手だけど 」
寡黙とは違うような…
意外と熱い人だと思うけど。
「 柚奈はさ、加寿也さんのどこに惹かれたの? 大人の魅力?」
「 ん~ 上山先生とは違う男らしい魅力?クールイケメンだし、黒が似合うし、髭が似合う!」
なんだそれ…
「 見た目まんまじゃん!上山先生とは違うよね、確かに。 でもさぁ 他にないの?」
「他? ないよ~ 性格なんて付き合わなきゃわかんないしさぁ でも、なんかいいのよね 」
「 わかんない… 」
「 そりゃ 椿には上山くんいるからだよ!私は一人だもん、寂し~」
寂しいって… あんたは別れたばっかだからよ?
柚奈 マジで加寿也さんを好きになりそうなんじゃないの?
いいのかなぁ…
加寿也さんが柚奈を相手にするとは思えないんだけど。
どっちかっていうと、妹的な感じ?
「 椿~ 私が加寿也さんに本気になったら落とせると思う?」
きた、ほらきた…
思うことを素直に言うべきか、曖昧に濁すか、わからないと言いながら応援するか…
友達として どう答えてあげればいいか…
柚奈がほしい答えを言ってあげたい。
でもそれは 違う気がする。
「 柚奈、加寿也さんと会ったばっかで お互い知らない事だらけだから、焦らない方がいいと思うよ?」
「 そうだね… 好きって難しいなぁ 」
んん?
「 好きって難しい? 」
ふうっとため息つく柚奈の視線が俯く。
柚奈は加寿也さんと どうなりたいの?

