加寿也が葵と雅の部屋に入り、雅は加寿也の肩を借りて出てくる。
赤ら顔の雅はすごく辛そうにしている。
「 雅くん、大丈夫? お水持ってく?」
「 椿ちゃん… 君が来てくれたら…」
いやいやいや、違うし!
「 雅、病人は黙ってろ!加寿也さん、
お願いします。椿、ありがとな 」
「 うん、気をつけて。また連絡してね 」
「 椿ちゃん、俺 注射は嫌いだぁ!」
あ~… はいはい。
がんばれ、先生なんだから。
葵も病院に付き添うため、私は玄関先で3人を見送った。
時間はすでに9時を回っていた。
お風呂に入り、1日を思い出す…
気になるのは 柚奈の事。
そして私と葵の間に起きた幸せな変化と繋がり。
聞きたいこと、話したいことがたくさんある。
私は柚奈に電話してみた。
「 あ、柚奈? 今 家?」
『 うん、どしたぁ?』
なんて話せば… とりあえず 加寿也さんの事。
「 あのさ、加寿也さんとは どうなった?」
ストレートすぎかな?
『 加寿也さん? ん~ 私なんか相手にしないでしょ。だって 上山先生の友達じゃん、年上の大人だよ、私なんて子供に見えるよ 』
なんか、柚奈… それ、ふて腐れてるみたいだよ?
「 柚奈、加寿也さんに対等に女としてみてもらいたい?」
少しの沈黙の後、柚奈は言った。
『 …かもね 』
それは どういう意味なの?
柚奈、加寿也さんに気持ちが傾いてる?
…ちょっと早くないかい?
『 椿、人を好きになるのに時間とか関係ないよね?』
柚奈、待ってよ… あんた、本気なの?

