お隣さんと内緒の恋話


私の機嫌をなだめようとしている雅の部屋に 葵の声より先に一人の女が飛び込んできた。


「 …い!勝手に行くなっ、おいって!」


なに?


「 雅~!!」


誰この人…


「 ちょっと、あなた 雅くんは熱が…」

「 雅~ 心配したんだからぁ 」


熱のある雅に抱きつき横になる女に 開いた口が塞がらない。


「 葵!この人が雅くんをっ 」


光景を見て呆れる葵、雅は抱きつく女に よしよしと頭を撫でている。


これってなんなのよ… 信じらんない。


「 おい、あんた、雅の何かは知らないけど 帰ってくれ 」


そうだよ、帰ってよ!


「 葵、椿ちゃん、二人は 飯でも食ってこい 」


え、あ… そういえば、忘れてた!


私は慌てて携帯を取り出し おばあちゃんに連絡をと思ったが留守電が入っていて聞くと、老人会でいないとの連絡だった。

少しホッとしたのも束の間、雅から離れない女を葵は苛立ち見ている。



このままじゃ 葵の機嫌が…

雅くんも おとなしく寝てればいいのに。


「 あの、すみません、雅くん 熱が高いんで静かに寝か…」

「 私の雅よっ 」


睨み言い切る女の言葉に、勘違いするなと言いたいが、言ったところでと思い直し何も言わなかった。

これが本当の上山 雅、先生。


ほんと みんなに教えたいわ、先生の姿を。



「 雅、今すぐ帰さないなら 俺は帰らない!」


えっ!


「 葵… 待て、おいっ… 椿ちゃん、葵を頼む!」


はぁ… しょうがないな、もう。


「 雅くんは 私たちには先生なんだよ?わかってる? 葵には… 頼もしい優しいお兄さんでいてあげて!」


それだけ言って私は外に出ていた葵のそばに寄り添った。


「 葵、おばあちゃん老人会なの、ご飯 食べに行こうよ、おごっちゃう!ね?」


私がいるよ、葵… ちゃんと そばにいる。


「 いや、俺がおごる。お好み焼きどう?」

「 いいよ!もんじゃ食べる~」


私くらい笑顔でいないとね、葵を元気づけるために。