お隣さんと内緒の恋話


次から次へと 合わせて6人の女から心配するメールが入っていた。

その中には葛西の姉まで。

一部の文面だけでも見ればわかる、雅から連絡しての返事だと。

呆れて物が言えない私は携帯を雅の胸に置いた。


「 携帯どーぞ~」

もうリビングにいよ。


「 …ん、はぁ… 待て、俺から離れんな…」


また命令ね、離れんなって言うのは葵だけでいいもーん。


「 愛沙はリビングにいますからね~」


冗談でそう言うと、高熱にも関わらず無理して体を起こす雅は どう見ても 熱い息に体に力が入っておらず、フラついた。


わ、ちょっと!!


「 ダメだよ、雅くん!寝てて、熱高いんだからっ 」


ほんとに私の事 愛沙って人だと思ったのかな?


肩を支えるように倒れないよう押さえていると、雅の熱い手が私の手首を握る。



熱っ… 解熱剤 効いてないんじゃないの…


「 寝て、雅く… ん、ぅわっ!?」

「 捕まえ…たからな… ハァ… 逃がさねぇ…」



えっ… ちょっと、お待ちになって!!


握られた手首を引っ張り私は雅の胸板にくっついてしまった。

力が入らないはずの雅の腕が私を逃がさないよう ギュッと絡む。


ど、どうしようっ!

雅くん、熱あるし、熱いし、勘違いしてるしーっ


「 あ… 頭が… クラクラす…」

「 雅くっ、ねぇ ちょっと!寝てよ、お願いだから 」

「 離れんな… 俺の、そばに…」



雅くん… 誰と間違えてんの?

もしかして聖奈さん…

だったら、とにかく今は無理させたら ダメだよね…

ここは、私が女優になろうじゃないの!



あろうことか、私は雅のために ちょっとした演技をすることにした。


「 …雅、お願いだから、寝て?私、そばにいるから… 雅のそばから離れないから 」


聖奈さんに似てたかな?

まぁ、熱あるしボケてるもんね。


「 …離れん、な…」


うん、離れないよ。