葵は薬箱を持ってきて私に渡す。
「 葵?」
「 悪い、椿… これ俺の部屋に置いてくれ。今から薬局行ってくるから 雅 頼める?」
え、私が!?
「 買い物なら私が行くよ? 」
葵がいた方が安心すると思うんだけど。
「 俺がそばにいると、あいつ、余計な事するから 椿がいてくれた方がいい 」
どういうこと?
余計な事って なに?
葵は 雅を頼むと言って薬局へと行ってしまった。
静まりかえる部屋に 私が歩く音が耳にやたら大きく響く。
「 ちょっと様子を見てみよっかな? 」
そっと雅の部屋に入り 眠る雅を見る。
よく寝てる… 冷えピタ交換しようかな?
まだ早いかな?
8時間間隔だけど 熱高いからなぁ 早く吸収しちゃうんじゃないの?
ん~ 看病する側なんて 初めてだから わかんないなぁ
とりあえず、冷えピタは替えよう!
ゆっくり冷えピタを剥がすと、温く重く感じた。
「 下がらないな、熱… 」
「 …ん…… 」
「 雅くん? 起きた?」
熱でもうろうとしている雅が 私を見る。
「 雅くん? わかるかな、私…」
「 ……愛沙 」
はい? 愛沙…って誰…
私の名前じゃないし!
「 体… いてぇ 」
なーんか、腹立つのよねぇ 雅くん 病人だけどさ。
私は椿だっつーの!

