お隣さんと内緒の恋話


手を引っ込めるしかない葵が照れを隠し、私を抱きしめてから 部屋を出た。

ガクンっと体の力が抜け床に手をつく私。

恥ずかしさ100%越えて、やたらと跳ね上がる心音がうるさい。



ヤバイよ、私… なんか 変だもん。


雅くんが帰ってきてホッとしたような、そうじゃないような…

でも…

ダメだぁ~ ああ…

葵、私を嫌いにならないでねっ

だから いつか、葵と。



「 …雅、おいっ 」


部屋の外から葵の声に 何か直感めいたものを感じて 葵の部屋から飛び出ると、倒れている雅と そばで心配する葵がいた。



「 雅くん!やだ、どうしたの!?」

「 いきなりもたれかかったと思ったら 倒れて… 」


ええっ なんで…


倒れている雅に触れると スーツの上からでもわかるくらい 体温を感じた。


熱い…


「 ねぇ 葵、雅くん熱、すごいよっ 」

「 …どんだけ熱あんだよ、椿、雅部屋に運ぶから洗面所にあるタオル持ってきてくれ 」

「 うん!」


なんで熱、しかも 何度よ、顔真っ赤じゃん!



帰ってきた途端に高熱で倒れた雅を葵が看病する。

私は葵を助けるため そばにいた。

葵が解熱剤を雅に飲ませ、しばらく様子を見ようと一旦 雅の部屋から離れた。



「 病院 どうする?早めに行く方がいいよ 」

「 タクシー呼ぶか…」


あ、そっか… 私たちじゃ連れて行けないんだよね。

困ったな…



「 病院はよっぽど熱が下がらなかったらでいいよ、今は寝かせとこ 」


うん、と頷く私は 心配する事しか出来なかった。