香伊羅の問いに加寿也は柚奈を見て、柚奈も加寿也を見る。
それを見ている私たちは 加寿也がなんて答えるのか ドキドキしていた。
ふいに思う。
この場では柚奈を彼女だと言ってほしいと思う気持ちと、付き合っていない事実を言ってほしいと思う気持ち。
「 柚奈とデート中だから、またな 」
え? 加寿也さん…
「 椿、香伊羅、上山くん またね 」
否定的でもなければ肯定もない濁した言い方をした加寿也。
捉え方は人それぞれだと言うことなのか。
「 椿、柚奈はさぁ あの人に任せよ。それがいいよ 」
任せよって言われても…
「 なんだよ あれ、どっちつかずかよ!加純、行こうぜ 」
腑に落ちない、納得いかない壮真が加純を連れて行ってしまった。
そこで思い出す肝心の目的。
「 あのさぁ、問題は解決した?」
あ…
忘れてた、光國くんのこと。
「 あ、ごめんね 光國くん!プレゼント選んでたんだよね~ 」
「 ごめんね、光國くん… 私たちに巻き込んじゃって 」
謝る香伊羅と私に、光國は笑顔で言う。
「 いや、いつも楽しそうだからさ、羨ましいと思ってたんだ。でも まさか、織原と上山が付き合ってたとはな 」
あ、バレバレ…
「 秘密にしてるつもりはないんだけどね 」
「 秘密にして楽しんでんだよ、な、椿 」
ちょっと! 何言ってんだか、葵っ
「 椿ってば~ 商店街でイチャつかないでよ 」
「 しないわ!」
まったくもう、香伊羅まで!
葵も葵だよ、私は秘密にしてるんじゃないよ…
でも、葵の素顔は私だけが知ってたいの。
それって欲張りかな?

