葵の視線の先を見れば、香伊羅と光國が雑貨屋の前にいた。
その前を あろうことか、壮真と加純が歩いている。
あれは… 何っ!? ウソでしょ…
「 潤兄、ちょっと ごめん! 友達見つけたから
またねっ 」
「 おう、またな!」
潤希のそばを離れて 葵と私は香伊羅と光國のいる雑貨屋のちょうど向かい側に移動した。
「 おい、なぁ あれ、光國たちんとこ…」
「 壮真だよ、あと1年の新カノの加純ちゃんね… どうでもいいけど なんでいるかなぁ 」
って言っても 壮真もよく来ていた商店街。
私と壮真とでも来たこともある。
気になる人物が二組もいて、私は戸惑う。
「 椿、光國見てみろ。瀬部を見るあの顔… 」
あ~ ほんと、なんか 好き好きオーラが…
何話してんだろ?気になる。
「 お~! 香伊羅じゃん、光國も~ 何してんだ? 」
「 壮真!? …話しかけないで 」
香伊羅に気づいた壮真が声をかけているが、見た感じは悪い。
そして、香伊羅と話す壮真の横で 加純が何気にこちらに顔を向け、私と葵に気づいて壮真の腕を引っ張り教えた。
あ、ヤバ…
「 椿…」
「 見つかったね… 」
加純~ あんたが見るからよ!ダメじゃん!
壮真が私を見て、香伊羅にも見られてしまい、4人がこちらに向かってくる。
あ~ 何も来なくてもいいのに…
「 葵、デートお預けだね 」
「 仕方ないな、キスもできねぇ… 」
はい! ?葵、キスもできねぇとは!
まさか、ここでするつもりだったとか?
やだわ、大胆な人ね。
って言うか… 最近 大胆発言 多くないすか?
「 椿~ 何してんの~ 商店街デート?」
香伊羅…
「 椿、お前 商店街 好きだったもんな 」
壮真… なんかムカつく。
「 うっさい!私に話しかけないで 」
「 お前なぁ 」
お前っ!?
「 お前にお前なんて言われたくない!」
「 …んだとっ!椿、お前になんかした覚えねぇぞ!」
かーっ、それがムカつくっての!
「 あんたが私にしたわけじゃなくても 腹立つの!柚奈の分もねっ 」
「 ちょっと 椿… やめなよ 」
「 柚は今 関係ねぇだろ!」
だからぁ、それムカつく!!
私と壮真が言い合い始めて 香伊羅が心配し、壮真の横で半分隠れるようにしている加純までが言う。
「 織原先輩、なんか ひどいです…」
プツン…と、小さな小さな 一部の堪忍の緒が なぜか切れた。

