お隣さんと内緒の恋話


歩いて20分ほど、商店街が見えてきて 香伊羅と光國を探す。



「 椿、隠れるのも変だし ついでだから なんか見る?」

「 いいの?」

「 いいよ、別にあの二人をスパイしてもな… 椿といる方がいいし 」


スパイって… 葵的発想?

私も葵がいればね、何でも いいよ。


小さい頃はよく来ていた商店街が、こじんまりした感じに思える。

懐かしい。

商店街には私を可愛がってくれた おじさんや おばさんがいる。

私を覚えているんだろうかと、懐かしさに浸りながら店を見て回る。



「 椿!光國だ、瀬部も 」


あ、ほんとだ… いた。

香伊羅ったら 好きな店にしか行かないんだから。



何気に二人の後を追う私と葵。

気づかれないよう手前の金物屋に隠れるようにしていた。



あれ、前にもこんな風にしてたことあった…

昔の記憶がモヤモヤと近づくと、後ろから声をかけられた。


「 おい、お前ら…」


ビクッとなり振り返ると見覚えある人が腕を組み立っている。


あれ? この人…


「 すいません、友達みつけたんですけど… 」


私も謝らないと!


「 あの、すみませっ… 」

「 お前、椿じゃん!?」


え… え?


「 俺だよ、潤希(じゅんき)だ!」

「 あ… ああっ! 潤兄~」


嘘、こんな再会 嬉しいんだけど。

懐かしいよ~ っていうか、老けた?



潤希は兄弟のいない私にとっては兄のような存在。

優しい優しい お兄さん。


「 椿… 」

「 あ、葵 紹介するね、甲斐 潤希さん。子供の頃 ママと買い物に来て よく 遊んでもらったの 。潤兄、彼は上山 葵くん、私の彼氏 」



やん!照れる~

自分で彼氏紹介するなんて。



「 へぇ 椿に彼氏か~ 成長したもんだなぁ おチビなサルだったのに 」


なんですって!


「 ちょっと! サルって言わないでよっ 今 花の女子高生なんだから!」



横で笑いを抑える葵と、楽しそうに笑う潤希。


「 椿、俺も最近 彼女が出来たんだ、年上だけどな 」


へぇ 年上とはね、意外だなぁ


「 って言っても正式に付き合ってるかは疑問だけどな… 」

「 何それ~ 」



潤希の一瞬 辛そうな、不安そうな顔を見てあえた時、葵が突然 私の肩を叩いた。


「 椿!」

「 なに、え?」