私の耳に聞き捨てならない衝撃的な言葉を聞いた。


「 ねぇ… お父さんもいない?」


ついでとか言うなんて…


「 いないよ、母さんと出かけ途中に事故でさ… まぁ、俺も兄貴もガキだったし 兄貴が就職するまでは 婆ちゃん家にいたけどね、その婆ちゃんも亡くなったから 引っ越しってわけ 」


淡々と、話すんだね…

悲しいよ、そんなの、辛いよ…


「 椿、さっき フォローしたから貸しは4つだからな?」

「 ああ… あっ!? な、なに 勝手に言ってんの!あんなの貸しにならないっ」

「 じゃ、大家さんにサボりのこと話してこようか 」


上山 葵にニッコリと笑みを見せられて、私は 一人暮らしを守るため 満面の作り笑顔を見せた。

葵に貸しが増えるなかで、葵は私を無視して段ボール箱を運び始める。


「 あ、ねぇ!お兄さんいるんでしょ?」

「 いるよ。…今、来た 」


アパート前に一台の車が止まり、サングラスをしたスーツの男が降りてきた。


お兄さん?

上山 葵の?


「 あれ… 織原か?」

「 え… はい、そうです、が… 」


あれ、この声聞いたことある……

そんな気がしていると、サングラスを取る葵の兄。


「 …あ、あああっ! かっ、上山先生!」

「 織原が大家さんの言ってた孫か?なんだ、そうか~ 」


先生、笑ってる…

私 笑えないんですけどっ!!