私が恋した相手はダサ男、上山葵。

葵の兄はイケメン教師でモテ男だが、素顔は違う。

葵は優しく 時に甘く囁き、男らしい。

雅は優しいが 意地悪で お邪魔虫の女タラシ。


この二人は私のお隣さん。


テスト期間が終わると、腑抜けるクラスのみんな。

それは私も同じ。

結果よりも 意識は葵一色。

私は授業が終わると 葵の席に駆け寄った。



「 お疲れ!ごくろうさま!」


葵、葵、ふふふ。


「 ごくろうさまって… 帰る?」

「 うん!」



今日もイチャイチャしたいなぁ なんてね。


テストが終わった瞬間 気が抜けて気が大きくゆったりしている私は 葵しか見ていない。

だからか、私がダサ男の葵と寄り添い教室を出るのを 後ろで囁く冷ややかな女子の声なんて、私の耳には届かない。

いつもは校門で待ち合わせていた私と葵。

なぜだか自然とそうなっていたが、今は一緒にいたいだけ。


「 椿!上山くん待って… 門まで一緒にいい?ダメ?」


香伊羅…


「 いいよ、なんでダメなんて思うの~」

「 だって、椿… ラブモード全開な感じしたから」


ええ、っていうか そう見えるのに一緒に帰るってか?

いいけど。


「 俺、椿に襲われるのか…」


へっ!?



聞き捨てならない葵の言葉に、私は一瞬固まり、香伊羅は笑う。



「 あははははっ 上山くんが冗談言うなんて… 」


私を真ん中にして笑う二人に、一人むくれる。


ラブモード全開で?私が葵を襲う?

そんなことするかー!

でも、香伊羅のこんな笑顔 すごく久しぶりな感じ。



「 じゃあね、二人とも。ハメ外さないようにね~」


どんなハメよっ!

香伊羅ってば…