お隣さんと内緒の恋話


トイレに入った私は 奥の柚奈を壁に追いやった。


「 ちょっと、椿? 壁ドンはやめて?」

「 おバカ!あのねぇ 柚奈、あんた 顔に出すぎなの 」


私より顔に出てたよ、わかりやすいったら。


「 顔って何がよ… 」

「 吐け!柚奈、吐け!」


睨むように見つめていると、しばし 根比べとなる。


柚奈ってば…


「 …わかった、降参~ はぁ、お調子者って思わないでよ?」

「 いいから!」


ちゃんと言ってよ、柚奈!


「 加寿也さん?ちょっと いいなぁって… 見た瞬間にビビッときちゃった! 」



やっぱり… だと思った。

それにしても ついこの前 大泣きしてたのに…

なんでまた加寿也さんに トキメクのよ~

壮真は壮真で後輩とだし…



「 ねぇ 椿… 私 まだ壮真 好きだよ。今 加寿也さんに恋したわけじゃないし、そんなつもり ないよ 」

「 柚奈… 恋しようと思ってするもんじゃないしね、私は もし 柚奈が加寿也さんを思っても 私は応援するよ 」


だって、友達だもん、親友だよ。


柚奈の話を聞いた私は納得し、トイレから出た。

テーブルに戻ると、加寿也が オススメのデザートを注文してくれていた。



「 椿ちゃん、友達 紹介してよ 」

「 あ、はい。彼女は…」

「 玉木 柚奈って言います、椿とは親友で 今 彼氏いません!」



ゆ、柚奈!? 何言ってんの!


呆気に取られる私に葵は無表情、雅はにこやか。

加寿也は黙って柚奈を見ていた。



「 俺は 蓮見 加寿也、雅とは幼馴染みで悪友だな。俺もフリーだよ 」


二人して… お見合いじゃないから。

雅くんも 先生なのに、いいの?