驚き つい出てしまった言葉が お婆ちゃんの怒りに触れてしまった。
一人暮らしも もうダメかと一瞬よぎり 落ち込む私に葵が口を開いた。
「 大家さん、彼女とはクラスも同じで 何かと助け合えると思います。これも縁なので 仲良くさせていただきます 」
上山 葵…
もしかして フォローしてくれた?
「 まぁ… 上山さんは出来た子だね。今日は 私が夕食をご馳走するから 椿といらっしゃいな。お祝いしようね 」
「 えっ!? ちょっと、お婆ちゃ… 」
何を言うの!と言いたかった私を睨むお婆ちゃんに、私は苦笑し 上山 葵を見て言った。
「 上山 葵くん、良かったら一緒に…」
「 はい、喜んで。うちは母親がいないんで正直助かります 」
え…… お母さん、いない?
「 お兄さんから聞いてますよ、だから平日は椿と一緒にご飯食べに来なさいね 」
知らなかった…
「 はい、お世話になります 」
上山 葵に お母さんがいないなんて…
「 嫌だわ、かしこまらないで。多和さんって呼んでちょうだいね、ふふふ。じゃあ、7時に二人で来なさいね 」
「 うん、わかった… 」
お婆ちゃんはにこやかにアパート隣の自宅に帰っていった。
私は知らなかった事実を知って シュンとなっていた。
「 どうした?」
「 …ごめんね、私 なんにも知らなくて 」
だから お婆ちゃん、お隣も一緒にって夕飯のこと…
「 母さんのことか… 気にすんなよ、ついでに父親もいないし 」
え…… ちょっと、今 なんて?