私を待つ葵を見て、私は柚奈に遠慮してしまう。
でも、柚奈にはお見通し。
「 椿、私 意地悪な親友じゃないよ? 」
柚奈……
「 私は別れたけど、あんたはちゃんと行かなきゃ。
私のために来てくれたじゃん、なのに、親友の恋の邪魔するほど落ち込んでないよ 」
「 そうだよ、遠慮してたら上山くんにフラれるよ?
それか私ら悪者にするつもり?」
香伊羅…
「 私、もしかして幸せ者?親友と、彼氏で 」
「 そうだよ、行きなよ 」
柚奈の笑顔が辛い、でも、私は…
校門の外に向かい、私は葵のそばに行った。
葵の隣で柚奈と香伊羅に振り向き手を振る。
私は葵とそのまま一緒に帰るが、柚奈と香伊羅は私を見送りながら話す。
「 ねぇ 柚奈、私も彼氏ほしいかも 」
「 香伊羅なら よりどりでしょ 」
「 何言ってんだか…」
「 好きな人、いるんでしょ?誰よ 」
そんな質問には答えない香伊羅は 柚奈をごまかしながら学校を後にした。
その後ろからは 加純と並び帰る壮真が 柚奈を見ていた。
「 壮真先輩、あの… 彼女と別れたって、ほんとですか?」
「 …別れた 」
「 時間、かかってもいいから… 私を彼女にしてください 」
「 は? なに、急に 」
「 そのままです。M寄りません?」
見た目 大人しい加純のハッキリした物言いと告白に 戸惑う壮真。
そんな会話がされていたなんて、私たちは知らずにいた。
葵と一緒に帰る私は ずっと黙ったままでいたが、葵が突然 歩くのをやめて止まった。
「 …葵?」
「 椿… 玉木は辛かったと思う。でも、玉木ばっかじゃなくて、俺といる時は 俺を見ろよ 」
そう言われて 私は ショックを感じた。
葵はいつも何も言わない。
それでも 私を待っててくれる。
思えば、二人きりの時間が本当になかったと感じて 葵を見つめた。
「 ごめんね、葵… 今日は葵とだけ、二人でいたい 」
誰にも 邪魔させないから。

