一人帰りながら 香伊羅と同じように雅に言われた事を
思い出していた。
雅くんにも言われたな… 葵じゃなく俺に恋しなかったの?って。
そんなの 知らないよ…
私の中であり得なかったはずの葵に 知らないうちに惹かれてて、葵に告白された時には 嬉しくて爆発しそうだったもん。
ダサ男かもしれないけど、本当はダサ男じゃない。
私だけが知っていたい。
雅に恋より、私の眼中には 葵がいた。
自宅まで帰り着くと、 葵の家をじっと見つめる。
私は葵とずっと一緒にいられるかな…
先のことはわかんないけど、葵が隣にいてほしいな…
自宅に帰り着替えて 葵に ただいま とメールする。
すぐに葵から返事がきて、一緒に おばあちゃん宅に行こうとの返信。
おばあちゃんの ご飯、久しぶりだなぁ。
今日はなんだろな、魚かな?
時間は7時。
私は自宅玄関前で葵が出てくるのを待った。
ちょっと寒いなぁ…
ガチャっと葵宅の玄関が開いて、葵、そして雅も出てきた。
「 葵!」
「 椿、今日は雅もだけと いいか?」
「 うん、いいよ~ おばあちゃん喜ぶね 」
私は柚奈の泣き顔を見たせいか、葵の腕を組みくっついた。
そして思う…
この腕を、葵を離したくないと。
「 椿、どうした?」
「 ううん、なんかね… くっつきたくなっちゃって 」
「 なんだ、それなら俺の腕も貸してやるぞ 」
いらないもーん!
葵だけでいいよ。
おばあちゃん宅までの短い距離を歩きながら、私は 葵の腕をギュッとして離さなかった。

