お隣さんと内緒の恋話


葵が私を探しているなんて考えもせず、私はバスを途中で降りて自宅アパートではなく、団地にある自宅へと向かった。



ママからの誘い断ったし、たまには顔だしてあげようかな…

パパも喜ぶよね。


私はそのまま団地の自宅に帰った。


「 ただいまぁ~」

「 椿!どうした、なんかあったか?」


は? なによ、娘が帰宅しただけじゃん。


「 何にもないよ、ただ昨日 ママの誘いを断わっちゃったからさ、顔出しにきたの 」


なんて、ほんとは ムカついて 葵たちから逃げてきちゃったんだけど…

いや、逃げてはないな、あの場にいたくなかっただけ。



「 椿~ やだ、どうしたの?まさか、冷蔵庫漁りに…」


もう~…


「 そんなわけないでしょ!それより、赤ちゃんどう?順調なの?」


なんとなく話をふると、ママの顔が 途端に 優しくなった。


手をお腹に当てて よしよし と擦る。


ママ… なんか、ママって ママなんだね…

不思議。


「 赤ちゃん、元気よ。早く 男か女か知りたいわね 」

「 そうだね 」

「 椿、夜 焼肉でも行くか!」

「 うん、食ってやる!」

「 椿、女の子なんだから、それ やめろ 」


あ、そうだね、気をつけますわ。


勝手に盛り上がる織原家に対し、葵は椿を心配し、雅も気にかけていた。

私の携帯には葵からのメールが入るが、私は知らないふりをして 見なかった。


葵、私… 今 怒ってるんだからね。