お隣さんと内緒の恋話


内心 煮えたぎる苛立ちを隠し、私はトイレと嘘をついて 葵と雅、絵茉から離れた。


何にも言わないで 見つめ合っちゃってさっ

どこの誰かくらい言ってくれればわかるのに、ぼーっとしちゃってさぁ

あの場合、私がいるんだから 取り乱してもバチ当たんないでしょ!

マジでムカつくわ…

も、帰ろ。



床を蹴るように早歩きしなからズンズンとエレベーターに乗り込み1階に降りた。


葵の、バカヤロー!!

私がデパートから出てバスに乗った頃、気づくのが遅い葵と雅が私を探し始める。


「 雅、椿は?」

「 トイレって言ってたし、お腹でも調子悪いか?」

「 やだ 大ね、止まらないんじゃないの~ 」

「 絵茉っ!」


葵と雅が絵茉を黙らせるが、待っても椿は来ない。

焦る葵は 雅を見つめる。


「 葵、まさか 椿ちゃん… 」

「 雅、帰るぞ!」

「 絵茉は一人じゃないだろ?友達と来たのか?」

「 うん、てか彼氏? さっき別れてブラついてたら葵 発見ってわけ。私も一緒に行く~ 」


言い出したら聞かない絵茉を仕方なく連れて駐車場へと向かった。

雅が運転していると、絵茉は葵に聞く。


「 さっき一緒にいたさぁ あれ、葵か雅の彼女?」

「 そう 」

「 雅じゃなく 俺の!」

「 え~ すぐ怒る女ってめんどくない? ヤキモチとかさぁ いちいち細かいの、やだやだ~ 」



雅は まぁまぁ とミラー越しに絵茉に言うが 聞くわけない。

葵は 絵茉を無視して 窓から外を見て 椿が歩いていないか見ていた。