葵を見ていると不思議と飽きなかった。
上山 葵は どこまで真面目なのか?
そんな事を思いながらそばにいると、葵の苗を植える手が止まった。
「 椿… 」
「 はい?」
あれ、今、呼んだよね…
しかも呼び捨て?
「 苗、もう一個取って 」
「 あ、うん… はい これ… 」
葵の土まみれの手の上に苗を置くと、一瞬 私の手を握るようにした。
その感じが私の心音を早くさせた。
な、なんで… ドキドキしてるの?
手が触れただけじゃん!!
私、絶対 おかしいって……
「 上山くん、織原さん、来週から水やり当番ね!1週間交代でやるから、みんなちゃんと育てるのよ~ 」
マジですか!!
つくづく上山 葵と一緒じゃん…
文句を言いたいが、言えば余計に何かを押し付けられそうで言えない。
同じクラスにいながら あまり会話を交わすことがない私と葵。
妙に縮まる距離に、柚奈だけでなく敏感な女子達の中で あっという間に噂が立つ。
ダサ男と私は仲良しこよしだと…
どちらかが恋してると…
昼休みにもなれば 噂はさらに広がる。
噂の一人歩きに尾ヒレが付き、付き合ってるとか、付き合ってないとまで広がる。
「 椿~ 噂は噂。気にしないで!でも、ほんとはどうなの? 」
柚奈…
「 柚奈、壮真が隣のクラスの女子に話しかけられてるよ?」
「 えっ!?」
焦る柚奈は私のそばを離れて壮真のそばに行った。
ヤキモチ妬きめ!

