私の理解力が足らないのか、彩香の気持ちが 本当に雅にあるのか、付き合ってる彼にあるのかわからない。
ただ、彩香は今 雅といたいと言った。
私には雅に甘えて彼から逃げているようにも思えた。
ポケットにある携帯が鳴り出し、出てみると雅だった。
「 雅くん?」
『 椿ちゃん、今どこ?』
「 コンビニの裏です 」
『 じゃあ 待ってて 』
雅を待つ間、彩香が私を見る。
「 ねぇ 椿ちゃん、うちの弟、仲良くしてやってね、ほんとは寂しがり屋なの… 」
「 はい、大丈夫ですよ 」
ニッコリ笑う彩香は空を見上げて月の出ている方を見ていた。
彩香さん、どうするのかな…
彼氏か、雅くんか。
逆に雅くんはどうなんだろ…
私も彩香と同じように月を眺めていた。
そして 雅が到着し、彩香が車に乗り込むのを見届けた。
私に手を振る彩香を私は見送った。
その頃の葵もまた雅のフリしてうろつき、私に電話をくれた。
葵だ!
「 もしもし、葵?」
『 椿、大丈夫か?』
葵の声だぁ…
「 大丈夫、今コンビニの裏にいるの。
ついさっき雅くんと合流して彩香さんを送ってったよ 」
『 わかった、じゃあ 待ってて!』
電話を切手から10分… カジュアルな雅のジャケットを着た葵が私のそばに駆け寄ってきた。
「 椿!」
「 葵っ 」
ほんと兄弟だなぁ…
「 葵、雅くんそのまんまだね 」
葵だからか よけいに かっこいい!
「 言うなよ、ムカムカするっ 」
あはは! わかる気がするよ、葵。
私は 雅に成り代わった葵を見て、笑いが止まらなかった。

