お隣さんと内緒の恋話


雅くんはいったい どんだけ お知り合いがいるわけ!?


プードルを抱っこしたまま 雅と彩香を横目に見ると、彩香が気づきニコリと笑う。


「 ねぇ 雅、相談あるんだけど いつ会える?」


あら、あらら?


「 今日 いいけど 」

ほほ~ って事は今夜ですかな?


「 ほんと!私 早番なの、だから 6時前には 」

早番? じゃあ、今夜は雅くんと遅番ってか。


なるほどね…


「 おい、雅っ 」

「 葵 すまん、椿ちゃん 葵を預かってもらえるかな? 夜 俺 出かけるし… 」


でしょうね。


「 いいですよ、葵なら 」

私は私で 葵と二人きりになれちゃうし。


「 ごめんね、葵くん。弟の事でちょっとね…」


弟?

それって… ほんと?会う理由なのかな…


「 雅、門限10時、自宅禁止 」


おっと、葵… 厳しく出たね。


言われた雅と、なぜか同じように苦笑する彩香に、私は思った。

弟の事とは 私と葵の手前 そう言っただけだと。

学校にいる雅を思う女子たちが 本当の雅を知ったら どんな反応するのか。



「 あの、プードルありがとうございました 」

「 はーい。また いつでも来てね、抱っこ出来るから 」

「 はい、ありがとうございます 」


ペットショップを出て トイレに行く私。

雅と葵は トイレの少し手前にある柱で待っていた。

私がトイレに入ると、違うドアから出た人が手を洗いながら話しているのが聞こえた。


「 ねぇ、さっきさぁ、あれ絶対 先生だよ 」


え…


「 うん、私もそう思う!上山先生だよね、まだいるかなぁ 」


な… だ、誰っ!?