葵の言ったことに 私は驚きすぎて葵を無言で見つめた。
「 雅、2度と女は部屋には入れないって言ったのに… 約束したのにアイツ…」
葵…
葵を傷つけるなんて 雅くん許せない!
治りかけの足は気にせず、私は葵のそばから走って離れた。
「 椿っ、おい!ちょっ、待て… 行くな!」
無理!
頭にきてんの、私はっ
葵が止めるも聞かず、私は葵宅に乗り込んだ。
「 お邪魔します!雅くんいるっ!」
「 椿っ… 待てって!今 はダメ…」
「 なんでよ、何っ… え?なんか、言った?」
葵を見て聞くと、葵は何か言いたそうに私を見つめる。
なによ、なに?
「 椿、雅が今… その~… アレなんだよ 」
「 アレ?って なに… 」
私の耳に時おり大きく聞こえる妖しげな艶々した声。
ピンッときた時には 私は全身固まった。
誰か… 私の耳を塞いで!
もしくは 雅くんの部屋を防音に…
聞こえる声は次第に激しく大きくなる。
その度にビクッとなる。
や、やめて…
雅くん、ケダモノ…
「 椿?」
「 ん?」
「 大丈夫か?部屋に戻ろう、な?」
ぎこちなく頷いた私を葵が連れ出し、私は部屋に戻った。
雅くんって、大人なんだよね…
「 椿、悪かった… あんなの聞かせるつもりじゃ…」
「 あ、ううん!葵は悪くないから。ただ、またアレってビックリしただけ… 何て言うか、私の知らない現実って感じで、ビックリ 」
ほんと、ビックリした。