お隣さんと内緒の恋話


教室を出ようとした時、柚奈と香伊羅が扉を塞いだ。


「 あ、帰る? 気をつけてね?」

なんとなく ごまかすように笑ってみる。


「 椿… 私は友達よ、親友よ!野蛮な小悪魔に会いに行くんでしょ? 私らも行くし!」


やっぱりね、だと思った。

「 椿、私もだよ、一緒に行くから 」


柚奈、香伊羅… ありがとう。

泣けちゃいそうだよ、友情に。


「 わかったから、一緒に行こ 」

「 ねぇ 上山くんは?いないじゃん、いつの間にか…」


えっ!! マジっすか!

そんな、どこ行ったのよ 葵~


「 あはは、照れてるかな?あとで来るよ、先に行こ!」


葵~ 来てよね、絶対~


教室を振り返り見渡しても 葵はいない。

不安になったが、行くしかない。

3人で体育館創庫裏に行くと、楓と美乃莉が腕を組み、仁王立ちして待っていた。



なんて絵になる二人… 仁王立ちがピッタリだわ。

「 ちょっと、織原 椿、あんたの彼氏いないじゃん!やっぱり、ウソ… 」

「 見栄張らなくてもいいのに…」


この~ 言わせておけばぁ!!


「 あんたたちねぇ!ほんとに彼氏い… 」

「 椿! 」


え…

文句を言おうとする私を呼んだ声に、私は振り向いた。


う、そ… 葵?

「 ちょっ、なに、椿… あれ、誰?上山先生?」


違う…

「 なんで上山先生が制服なんか!織原 椿、あんた やっぱり 私ら騙したわねっ 」


違う、違う!違うのっ

「 葵… どうして、眼鏡は…」


私や柚奈、香伊羅、楓に美乃莉の前に現れたのは 紛れもなく 葵。



でも、ダサ男ではなく、イケメンの葵だった。