玄関を出て雅の車に乗ると、雅が私を見て言った。
何?
なんで見るの…
「 椿ちゃんは なんで俺に恋しなかったんだ? 今だに 疑問だな 」
はい? なに言ってんの…
雅くんて 何がほんとかわかんない。
「 遅刻しますよ~ 発進してくださーい!」
私の恋する人は、葵なのよね。
早く顔が見たいな。
アパートを出るとき、一台の黒いバイクが止まっていて、乗る人が 私と雅を、車を じっと見ていた。
私は気づかなかったが、雅の視線がチラリとそのバイクを見た。
そんな些細な事は忘れ、私と雅は学校へと向かった。
私は学校が近づくと 頭を低くして 登校する他の生徒に見られないようにした。
ひぇ~ 見えちゃうっ…
「 椿ちゃんさ、そんなんしなくても平気だって 」
そんなわけないじゃん!
雅くんファンの女子は怖いんだから~
「 いいから!雅くんは前向いて運転してて、私は乗ってないの、そんなフリでお願いっ 」
「 なんだそれ、笑えるな 」
ちょっと~
私は真面目に言ってんの!!
職員専用の駐車場に着くと、雅が急に 私の頭を グッと押さえた。
「 ちょっ、雅くん!? なにす… 」
「 しっ!A組の真山と柴田がいる 」
えっ ウソ、なんで?
楓と美乃莉が なんでここに!?

