一人影ながら喜びに浮かれていると、柚奈がキョロキョロしだした。
私を探しているんだとわかり、私は焦った。
いくら柚奈本人に呼ばれて来たとは言え、せっかくの雰囲気を壊したくはない。
「 壮真、来る時 椿見なかった?」
その言葉にドキッとした。
ヤバ~い!! どうしよ、どうしよ…
困る私は葵を見上げ見た。
前髪のウネリから覗く葵の目と口が ふっと笑みを見せ言った。
「 貸し 3つな 」
うん、うん、と頷く私を葵は自分のいる位置と私の立ち位置を逆転させた。
「 椿は見てないぞ? 来るのか?」
砂利を踏む音が近づいてくる。
見つかるっ……
そう思った時、木には押しつけず 逆に私を抱きしめる葵は私を隠した。
近付いた柚奈と壮真が入り口付近に来て私たちに振り向いた。
「 あれ、上山?」
バレた…
「 お前、彼女いたんだ… 」
ちょっと~ 私が彼女見えるわけ!?
「 邪魔して悪い、上山 」
邪魔じゃないけど、彼女じゃないから!
言われた葵は 気にするなと言わんばかりに手を上げてみせた。

