お隣さんと内緒の恋話


「 やれやれ、参ったね これは…」


一人 木に隠れ呟く雅。

4人のケンカは なかなか収まらず 行き交う生徒が見たりしていた。

雅は4人を止めようと一歩踏み出した。

と、同時に帰ったはずの壮真が走って雅の横をすり抜けた。


「 おい!なにしてんだ、やめろっ 柚奈っ!」

「 あんた関係ないでしょ!どいてよっ」


止めに入った壮真を、楓が足蹴りする。


「 いて!柚奈、来いっ、香伊羅もやめろ!」

「 壮真!この バカ女ーっ、よくも私の壮真に!許せなーい 」


助けに、止めに入った壮真まで蹴られる始末に 収まらない4人。

雅は ここでやっと止めに入る。


「 おーい、やめやめ!何してんだ、やめなさいっ 」


先に手を止めたのは楓と美乃莉。

柚奈と香伊羅も離れた。

壮真は ふうっと一息つき、柚奈の頭をコツッと優しく叩く。


「 君らはA組の… なんでこんなことに?」


楓と美乃莉は息を整えながら 目をそらし、柚奈は二人を睨み 雅の顔を見た。


「 先生、椿のケガは この二人のせい。それに、先生のせいだよ!」


柚奈に言われた雅には当然 心当たりがある。


「 君たちさ、まだ勘違いしてる? 織原とは付き合ってないよ、ましてや生徒と付き合わない、誰ともな。
わかるか? 君らは生徒であって 俺は教師、それだけだ 」


雅の言うことをしっかり聞いた楓と美乃莉だが、まだ信じられずにいる。


「 かばってるみたいに見えますよ、先生。織原 椿とどうこうより、先生の目は 織原 椿を見る目が私たちを見る目とは違う気がします!」


美乃莉の言葉に 楓は頷き、柚奈は雅を見る。


「 先生… 」

「 はいはい、もう終わりだ、帰りなさい!」


柚奈の問いを避けるように言った雅は 背を向けて行ってしまう。

雅の後ろ姿を見ながら楓は 柚奈に言う。


「 ねぇ あんた、椿には彼氏いるって言ってたよね?明日 私たちの前に連れてきなさいよ、いい?」



そう言って帰っていく楓と美乃莉。


柚奈は呟く。

「 椿に怒られる… 」