お隣さんと内緒の恋話


柚奈を心配しながら壮真は仕方なく帰る。


「 壮真 ごめんね… 私 今 椿のために戦うから!」

「 バッカ!椿か聞いたら呆れるよ?絶交もんだよ?」

「 香伊羅、わかんないの?椿はねぇ 玲音が勘違いして口走ったせいで A組の二人にやられたんだよ!
椿は上山先生じゃなくて、上山ダサ男と付き合ってんだから!」

「 ……は? ちょ、柚、今なんて言った!? 椿が… マジなんだ今のっ 」

「 はっ!しまっ… ごめん、聞かなかったことにして、ね、お願いっ」


開いた口が塞がらない香伊羅はビックリしすぎた。

柚奈は自分の口が滑りすぎてビックリしていたが、気を引き締めカバンを手に、香伊羅と教室を出て体育館横に向かった。


「 柚奈、話すのはいいけど勝算あるわけ?」

「 ん~ ないね、うん、ないわ」

「 あんたねぇ… そこ椿と似てるわ。とりあえず行きますか~ って、 上山先生!?」


柚奈と香伊羅の歩く前から雅が来た。


「 お、帰るとこか 」

「 はい、帰りま…」

「 いーえ、帰りませんっ 」


雅の問いに素直に答える香伊羅とは逆に、柚奈はキッパリ言い切った。


「 あ~ 帰らないのか?」

「 はい、帰りませんよ、では失礼~」

「 柚奈っ! 先生、じゃあまた… 」


苦笑気味の香伊羅、二人の後ろ姿を見ながら 何かしら感じた雅だが 一旦 職員室へと戻る。

香伊羅は柚奈の意気込みが心配で仕方ない。

ふいに柚奈はピタリと止まった。


「 香伊羅、私一人でも行くから大丈夫だよ 」

「 あのね、椿は私の友達で、柚奈 あんたも。私は椿の代わりに あんたまで怪我しないように見張るだけ、さ、行くよ 」

「 香伊羅… 好き!」

「 キモい、ウザい…」


話ながら体育館の横に来た柚奈と香伊羅の目の前には すでに 楓と美乃莉が待っていた。