痛みをこらえつつ、駐車場に着くと 雅が車に背をつけ待っていた。
雅くん… 待たせちゃった。
「 先生… 」
「 おう、どうやって道草してたんだ?」
道草って… そんないいもんじゃないよ。
「 ほい、乗って 」
痛くない、痛くない… 平気 平気。
……って 痛ぁいっ
雅の車に乗ると、少しホッとした。
勘づかれないようにごまかさないと…
「 葵、待ってるかなぁ?お腹すいてるだろうなぁ…」
「 葵か、あいつは大丈夫だろ、頑丈だから 」
頑丈?
「 葵はバカだから風邪引かないし、腹減ればなんか食べるだろ 」
「 雅くん… お兄ちゃんのくせに ひどい 」
「 いや、ひどくない。葵のがひどいんだ、俺が風邪ひいて苦しんでる時に、女友達が看病に来てくれたのを追い返したんだぞ?
しかも 玄関に塩撒いて 」
「 は… あははははは!! 葵らしい~ 追い返して塩撒くなんて… ほんと なんの看病にかわかんないよ~
笑える 」
楓と美乃莉にされた事を忘れてもいいくらい 雅と葵のやりとり話に笑った。
葵に会いたいなぁ…
顔見たら痛み飛んじゃうかも。
「 そこまで笑うか?」
「 うん、笑う~」
「 じゃあ、なんでケガ隠してんだ?」
「 …え?」
ウソ、なんでわかったの!?
「 ケガは隠してないよ、前髪だし… 」
そうごまかすと、雅が車を路肩に寄せて止めた。
「 雅くん?」

