会いたい。~それは2度と叶わない願い~



「あ、そうだ。この子どうするんだ?」



1人の童に抱えられた。



怖い…



人間の言葉は少ししか分からない。



だから余計に怖い…



「待って、いーくん。この子怪我してるよ!」



あたしが怪我してるところを指差して驚いていた。



あたしを抱えていた子が



「福太郎ん家ってここから近いよな?」


そう酷く焦った声で言っていた。




「まぁね。連れて行こうか!」



すると3人は走った。




当然あたしは抱えられているので、連れて行かれる。



怖い、怖い…



あたしは小さく震えた。



ふとあたしを抱えた子だけが立ち止まった。



「…大丈夫。何もしない。」



そっと優しくあたしを包み込んだ。



(あったかい…)



母様にいつも包み込まれるように寝ている時、あったかい。



けど、このあったかさは別もの。



あたしは次第に震えは収まりその子の胸に摺り寄せた。



「大丈夫だからな。」



あたしを覗き込むようにして見た。



その子の顔はお日様みたいな笑顔だった。

ガウッ




あたしはそれに応えるように元気よく吠えた。